サバット  原万里子

アジア人初の『サバットチャンピオン』の原点に迫る、特別インタビュー。

トップアスリートインタビュー

 

Q1:スポーツ歴を教えていただけますか?
原選手:中学生からバスケットボールを始め、3年間続けました。強豪チームではなかったので、大会等の実績はありませんが、練習場所には誰よりも早く行き、人一倍練習量をこなすことを日課にしていました。現在の競技生活においてもこの部分は変わらない基軸となっています。しかし、その後はスポーツ三昧の生活を送っていたわけではなく、大学では現在の仕事に繋がるデザイナーの道を目指しました。
:
:
Q2:サバットをはじめたきっかけは?
原選手:2003年に社会人となってから、運動不足解消の目的で二子玉川のコナミスポーツクラブに通うようになり、そこで人生を変えることになるサバットと出会いました。それまで格闘技をやってみたいと言う気持ちは、頭の片隅にもなく、今思えば、最初に出会ったのがキックボクシングや他の格闘技だったら、そちらの道に進んでいたかもしれません。しかし、最初に出会ったのが、日本では学べる場所が非常に限られている、サバットであったこと、それが今では運命だと感じています。
:
:
:
Q3:サバットをはじめた当初の感想は?
原選手:「とにかく楽しい!」と言うのが、初めの率直な感想です。それは指導者でもあるJAPAN SAVATE CLUB 窪田隆一代表の人柄や雰囲気が良かったこともあったからだと思います。ちなみに格闘技への興味や知識が全く無かったので、様々な格闘技を見るようになってから「えっ、キックボクシングって裸足で蹴るの?!」と驚いたくらい、何も知りませんでした(笑)
:

Q4:サバットの競技上達に心がけたことは?
原選手:技術やメンタル、コンディション作りなど、サバットに必要なスキルは沢山ありますが、練習を始めた当初から現在まで一貫して心がけていることは、日々の積み重ね、【継続する力】です。日本では、サバットの練習環境は、満足に整っていないのが現状です。いつも同じ施設が確保できるわけではないので、練習場所も転々としていますし、指導者も限られています。また、日本では国内で大会が開けるほどの競技人口もいません。そんな環境の中でも、窪田代表の指導をはじめ、一緒に練習するメンバーの助けもあり、日々練習を続けることで成長出来たことが、上達に繋がったと思います。
:
:
Q5:サバットではじめて試合をしたときの感想は?
原選手:サバットを始めた当初は、試合に出るつもりはありませんでしたが、競技練習を始めてからすぐに、ブルガリアで行われた世界大会(2004年)に出場していました(笑)。デビュー戦は世界大会の前に、パリの国際大会で、フランスの選手とおこないましたが、イメージ通りに体も頭も動かず、試合で結果を出すことの難しさを実感しました。
:


Q6:試合中にメンタル面など意識・集中していることはありますか?
原選手:とにかく自分のペースを貫き、相手にのまれないように、攻撃を受けても顔色一つ変えないようにポーカーフェイスを保つことを心がけています。試合は心理戦ですので、メンタル面での駆け引きは非常に重要だと感じています。
:
:
Q7:どのような戦い方を得意としていますか?
原選手:  「シャッセ(横蹴り)」を基軸に戦い方を組み立てています。サバットにおいて、シャッセとは、ボクシングの左のリードブローに近いもので、間合いをはかる・ダメージを与える・リズムを掴むなど、とにかく攻撃・防御全てにおいて重要な役割を果たします。私は、最初にこのシャッセのスペシャリストに指導して頂くことが出来、それをベースに、今のファイトスタイルを確立しました。
:

Q8:フルコンタクトの試合ではKOを意識しますか?
原選手:出場している試合は、強打してはいけないライトコンタクト(アソー ポイント判定)の方が多いのですが、コンバ(フルコンタクト)では当然KOの方が盛り上がりますので狙ってはいます。しかし、サバットは攻撃力が高い分、ディフェンス技術も非常に高くなるので、簡単にKOとはいきませんね。
:
:
Q9:欧米の選手と戦うにあたって工夫していることはありますか?
原選手:サバットはフランスが発祥国ということがあって、ヨーロッパの選手層が非常に厚く、(K-1王者アーネストホースもサバットチャンピオン)、日本における柔道のように、国レベルで競技の普及や指導をおこなっています。そのような状況で、満足な練習環境も整っていないアジアの選手が欧州の選手に勝つために、欧州とは異なった発想を多く取り入れています。具体的には、日々のトレーニングの中で、加圧トレーニングや初動負荷トレーニングなど、日本式の科学トレーニングを行ったり、他の競技の技術や戦略を取り入れたりしています。また体のケアに気を使い、回復を早めるためにサプリメントの取り方を学び、栄養価の高い食事を心がけて、常に戦える体つくりを意識しています。
:

Q10:アジア人初のサバットチャンピオンになった時の気持ちは?
:原選手:  20091128日フランス・オーボンヌ(パリ郊外)で開催されたコンバ(フルコンタクト)の世界選手権大会「Championnat du Monde SAVATE 2009」にてフランス王者のエロイーズ・ブルースト選手と決勝で戦い、悲願でもあったサバットの世界王者になることができました。とにかく言葉で表現できないほどの嬉しさでした。サバットを始めてから技術指導、基礎トレーニング、サプリメントや食事に関するアドバイスに至るまで、ずっと二人三脚でサポートしてくれた窪田代表や仲間に少しでも恩返しが出来てよかったです。

 


Q11:話は変わりますがサバットとデザイナーの仕事の両立どのようにしていますか?
原選手:  デザイナーの仕事もサバットも全力で取り組むように心がけています。もちろんサバットだけで生活できるプロ選手が理想ではありますが、デザイナーの仕事を頑張っているからこそ、サバットと言う大好きなスポーツを続けていけるわけですから、双方に失礼のないようにベストを尽くしています。しかし、大会はもちろん、出稽古に関しても海外に行かなければならないので、旅費だけでも相当な金額になってしまいます。本当にサバットに貢いでいる感じですね(笑)
:
:
Q12:サバットの見どころ、魅力はどこでしょうか?
原選手:  「華麗な技」と言いたいところですが、表面的には見えにくい緻密な駆け引きもあるので、一言で表現することは難しいです。技術的なことではありませんが、サバットを通じて、日本と海外を繋げる機会を得られることも魅力の一つだと感じています。

Q13:サバットを続けていく原動力は?
:
:
原選手:「愛」ですね!やはり、サバットが大好きでなければ続けられません。あとはラテンの雰囲気も自分にはとても合っています。例えば、日本では、試合時間が決まっていて、しっかりと大会が進行していきますが、サバットの場合、試合の終了が夜中の1時過ぎということも頻繁にありますし、試合が有るか無いかも当日になるまでわからないこともあります(笑)。そんな何が起きるかわからない自由な雰囲気も含めて、愛しています。

Q14:今の目標は?
原選手:2010年の世界選手権では、銀メダルに終わって悔しい思いをしたので、今年は世界王者に返り咲きたいと思っています。あとはサバットをより多くの人々に親しんでもらえるように、日本にサバット文化を根ざしていきたいと考えています。私が「日本のサバット発祥地」と呼んでいる「東京都世田谷区」から第一歩を踏み出したいです。
:
:
Q15:最後に若者へのメッセージをお願いします。 
:
:
原選手:「継続は力なり」! 何事も、諦めずに続けることが大切だと思います。ひとつのことをやり続けることで、まわりの人たちの評価が変わり、多くの人たちの応援や協力を得て夢を実現することも可能になっていくので、目指すべきものを見つけたら、迷うことなく続けてみて下さい。

 
 
 
原選手、インタビューありがとうございました。


▲ページトップへ

  プロフィール

 


 

原万里子(はら まりこ)
 
1978年9月4日生まれ



 

全く格闘技経験がないなか、社会人となってからサバットに出会い、競技開始後僅か2年目に世界大会に出場し銅メダルを獲得、同時に大会MVPとなる。2006年アソー(技術部門)世界選手権銀メダル、2007年コンバ(フルコンタクト部門)世界選手権銀メダル2008年アソー(技術部門)世界選手権銅メダル、2009年にはコンバ(フルコンタクト部門)で、アジア人初の世界チャンピオンとなる。
JAPAN SAVATE CLUB所属。
東京都出身。

 

トップアスリートインタビュー
【セパタクロー】
山田昌寛>>
 
 
【スキーボードクロス】
 大西一憲>>
 
 
【キックボクシング】
増田博正>>
 

 

 

【カバディ】
青木綾>>
 

 

 

【総合格闘技】
 菊野克紀>>